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−続・ガラス原料あれこれ(28)−
 
[ホウ珪酸ガラスの話]

今日から9月です。
今年の夏は梅雨明けが遅かったですが、明けたとたん
猛暑の夏(特に関西以西)となりました。
セミもいつまでも鳴いてます。
早く涼しくなって欲しいものです。

さて、今回は「ホウ珪酸ガラス」の話です。
前回は、もっともポピュラーなガラスである
「ソーダ石灰ガラス」についてお話しました。
今回はもう一つの代表的なガラスとして、
「ホウ珪酸ガラス」=「硬質ガラス」を紹介します。
これまでにも、この「ガラス原料あれこれ」で
「硬質ガラス」=「耐熱ガラス」=「熱に対して伸び縮みが少ないガラス」
というお話を、何度かしてきましたね。この硬質ガラスを、ガラスの組成として
表現すると「ホウ珪酸ガラス」ということになります。

ホウ素(B)は、8世紀のアラビアで貴金属細工の融材として
使用されるようになったそうですが、そのうちガラスにも
添加されるようになりました。
このホウ素をソーダ石灰ガラスのソーダ分(Na2O)と一部置き換えると
熱に対して伸び縮みが少ないガラスとなります。
それが「ホウ珪酸ガラス」です。
通常、重量比で10〜15%ぐらいをホウ酸(B2O3)に
置き換えます。ソーダ分(Na2O)は5%ぐらいになります。

ホウ素を工業的にガラスに加えるようになったのは19世紀末の
光学用ガラス以降のことです。
ショット(O.Schott、独1851−1935)が1893年に開発した
ホウ素を使った耐熱ガラス=「ホウ珪酸ガラス」は、当時発明された
白熱ガラス灯のほやとして空前のヒットとなったそうで、以後この
「ホウ珪酸ガラス」は耐熱ガラスとして産業界に不可欠のものとなりました。
また現在、耐熱ガラスとして有名な「パイレックス」は第1次大戦勃発後、
ドイツのショット社からの耐熱ガラスの供給が絶たれた
あとに、米コーニング社で開発されたものだそうです。
これも歴史の皮肉と言うべきですか。
米コーニング社も、独ショット社も現在も健在で、
それぞれ耐熱ガラスだけでなく、さまざまな特殊ガラスを供給しています。

今回は「ほう珪酸ガラス」の話でした。
話が硬質ガラスだけに、少し話が硬かったかもしれません。


 
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