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−続・ガラス原料あれこれ(3)−
 
[ガラスの熱履歴 ]

 「熱履歴」です。何のことでしょう。別にガラスの履歴書ということでもありません。
通常「熱履歴」の意味は、ガラスが溶融、成型、さらに徐冷されてひとつの形になった
場合に、そこまでのプロセスでそのガラスがどんな温度変化を経たかということです。
 
 たとえばガラス溶融時での熱履歴。グラス・バッチ(Aスキ・バッチのような)を坩堝で溶融する場合、基本的に一番大事なことは、さっと出来るだけ速やかに高温(出来れば1400℃ぐらい)まで上昇させて、バッチが溶融されてガラスになるまでその温度を一定時間保ったあと、今度はまた出来るだけ速やかに作業温度(作業内容、条件によっても変わりますが1200℃ぐらい)まで温度を下げるということです。そうすることで、ガラスはきれいに溶融されます。それらの行程がスムーズに行われない時、色々のトラブルが生じます。

 一番問題なのは、ガラスが液体から固体に変わろうとする液相温度で長い時間放置することです。液相温度をずっと保っていると、ガラス(非結晶)にならずに結晶物を作ってしまうのです。これが、ガラスのいわゆるブツなど呼ばれる不透明の生成物の原因になるのです。
 ですから、ガラスが溶融できたらさっさと成型して、坩堝に残ったガラスは出来ればいったん坩堝から取り出して、カレットとして次の溶融の時にバッチと一緒に使用した方が、ガラスの品質を保つためにはいいのです。

 また熱履歴は、成型の時にも問題となります。たとえばグローリーホールでの炙り戻しをあまり長時間行ったりすると表面が白くなったりします。これもガラスの表面に結晶が出来るということです。
 さらに徐冷の際にも熱履歴の問題は発生します。徐冷は、徐冷点より少し上の温度から歪点より少し下の徐冷域という温度の範囲内でガラスを一定時間保ち、その後一定の温度カーブで冷却させて行く事で、ガラスに歪が残らないようにする行程ですが、(少しややこしいですね)ここでもたとえば徐冷域に保つ時間が足らなかったり、冷却時間が早すぎたりすることで、歪が残ったりします。
 
 このように、全く同じ原料のグラス・バッチから作ったガラスでも、そのバッチがガラスとして最終的に出来上がるまでの熱の変化具合、すなわち熱履歴で色々に変化してしまうということなのです。
今回は少しややこしかったかもしれません。ふー。

 
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