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−続・ガラス原料あれこれ(2)−
 
[ガラスの透明度 ]

 一般的に透明度の高いガラスと言われて思い浮かぶのが、クリスタル・ガラスでしょう。クリスタル・ガラスは主に鉛が多く含まれている鉛クリスタルとカリ分が多く含まれているボヘミアン・クリスタルがあります。それから当社のAスキも鉛分を含まないでクリスタルの輝きを目指しているガラスです。
 それらに共通していることは、「不純分の少ない原料」を使用するということです。
「不純分」の中で一番多く入って来るのが、鉄分です。

 ガラスの主成分であるシリカ(SiO2)は珪砂を使用します。その珪砂は天然物なので、どうしても鉄分が混入してきます。光学グレードのうんと価格の高い珪砂で5ppm(0.0005%)ぐらい。我々が通常使う珪砂であるMKシリカで30ppmぐらい。比較的コストが安くて品質も高いフラタリ珪砂やサラワク珪砂で90ppmぐらいです。かなり低いと思われるでしょうが、珪砂は調合比率で60%以上入って来るのでガラスの透明度に与える影響は大きいのです。
 珪砂の不純分には、鉄分以外にも重金属やチタンなどの成分がごく微量ですが入ってきます。それら十分考慮した上で、使用する珪砂を決定しているわけです。
 
 珪砂以外の原料は、化学合成したものが多く鉄分の混入はそれほどありません。もちろん高品質のものに留意して使用するわけですが。そうやって不純分をできるだけ排除しても、どうしてもある程度の混入を防ぐことはできません。
  そこでいわゆる「消色」という手法を取ります。「色を消す」と書きますが、実際には、主に着色の原因となる鉄分の緑色を、その補色であるピンクや青色の着色剤を積極的に添加することによって、着色を目立たなくするのです。(いわゆる「物理的消色」)「消色」には他にも「化学的消色」といって酸化剤を入れることによって鉄分の発色を目立たなくするという手法も取られています。

 ボヘミアン・クリスタルに使用するカリ分も鉄分の発色を目立たなくします。
また鉛を入れることによって、透明度自体はあまり変わりませんが、光の屈折率や分散性が大きくなることによって、視覚的により透明度があるように見えるという効果があります。光学ガラスにおいては、透明度はさらに切実なテーマとなるため工芸用ガラスよりさらに高額で高純度な原料を使います。またガラスの組成もその用途に応じて種類も多く、一般ガラスともかなり異なります。
 
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