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−続・ガラス原料あれこれ(46)−
 
[フリットとビレット]

今年の冬は寒いですね。
確か、元々の予想では暖冬傾向ではなかったかと。
東京や大阪の都市部では珍しい、まとまった積雪も今年の冬は何度か
ありました。
それでも、季節は着実に進んでいます。日没の時間がどんどん
遅くなっています。
2月は「光の春」と言うそうです。南向きの窓辺に居ると本当に
冬であることを忘れそうです。
まだまだ外の気温は寒いのですが、確実に季節は春に向かっているのですね。
ほっ。

まず初めに、またしてもサングラス・バッチ(調合原料)の価格を
改定のお願いをせざるを得なくなったことをお詫び申し上げます。
ガラス原料の中でも一番主要な原料である、珪砂とソーダ灰が大幅に
上昇しました。それから、工芸ガラスに不可欠な成分である
炭酸カリも大幅に上昇します。アルミ成分も上がります。
硼砂・硼酸も大幅に上昇します。
一体、この資源インフレはいつまで続くのか!と不安にかられるほど
です。
そのような状況の中で、調合原料は製品価格中の原料コストが大半を
占めるので、値上げをお願いするしかありません。
何卒、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

さて、このメルマガでお知らせしてきたビレットの「黒」と「蘇芳色」
が完成しました。
http://www.sunglass-shop.jp/html/news/news0226-2.htm
ビレットの「黒」はフリットの「黒」より着色顔料が少なく、キルンワークに
使用してもざらざらになったりしません。
またビレットの「蘇芳色」はフリットの「蘇芳色」と同じ色合いをビレットで
作ったものです。結果として同じような色合いになりますが、使用する
着色顔料は微妙に違うのです。不思議ですね。

このようにフリットとビレットは大きく性格が異なります。
フリットは、ごく大まかに概念としていえば「薄く引き伸ばして使うもの」です。
フリット単体でみれば、ほとんど黒色にしか見えないものが多いです。
特にロッドの形状の場合はそうなります。
濃い着色を付けていますから、ガラスの表面に薄く付けてもしっかりその色
が見えます。
薄くされた状態の色を、あらかじめ目的の色として想定して作っています。

一方ビレットは、フリットとの対比からいえば「そのまま使うもの」
ということになります。
かたまりのままでの色が完成の色です。
ですから、設計しやすいともいえます。しかし今回の蘇芳色などは、
ごく微妙な色合いがフリットで表現出来てしまった(!)ので、それを
ビレットに移し変えるのにずいぶん苦労しました。
蘇芳色は濃い目の紅色で、古くから親しまれた染料だそうです。
ただし、着用はかなり上流階級の人に限定されたようです。
http://yuzen.net/color/red/suo.htm
この紫でも赤でもない少し古風で微妙な色(ファンタグレープの色!?)、
ましてや不透明の色をどうやって透明色で表現するのか?
それに対する私なりの回答がこのフリットとビレットの蘇芳色なんです。
何て、大げさですが。
それから、最近の顕著な傾向ですが、キャスティングをされる方が
増えてきました。
いわゆる「キルンワーク」と「ホットワーク」という括りからいえば、
美術系大学などのガラス工芸の教育機関では、その割合が半々ぐらいに
なってきたという実感があります。
当社でのビレットの販売量も増えています。
どちらの技法もガラス工芸にとって大事な技法ですね。

前回お知らせした、ホームページのリニューアルの作業も進行中です。
コンテンツが膨大なので、もう少し時間がかかりそうです。
今回はフリットとビレットの違いの話でした。


 
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