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−続・ガラス原料あれこれ(30)−
 
[クリスタルガラスの話]

今日から11月です。
めっきり涼しくなりました。といってもこれは
東京、大阪の話で、旭川では今朝初雪を観測したそうです。
涼しいどころではありませんね。(^^;;

このところガラスの基礎的なお話を続けています。
今回は「クリスタルガラス」の話です。
前々回、前々々回で「ソーダ石灰ガラス」=「並ガラス」、
「ホウ珪酸ガラス」=「硬質ガラス」の話をしてきました。
「クリスタルガラス」の定義は難しいのですが、
クリスタル=水晶というように、一般的には
透明度、屈折率、密度が高い高級ガラス=きれいなガラスを
指すと考えられます。鉛クリスタルガラスと、
ボヘミアンクリスタルガラスの2種類があります。

クリスタルガラスをガラス組成の側面から考えると、
組成の基本はソーダ石灰ガラスと考えていいと思います。
そのソーダ石灰ガラスの基本に、鉛クリスタルガラスならば、
酸化鉛(PbO)が多く入り、ボヘミアンクリスタル
の場合には酸化カリ(K2O)が多く入るということです。
酸化鉛や酸化カリがガラス成分に多く入ることで、
感覚的に言うと「色、艶が良くなる」ということなのです。
カットなどの加工もしやすくなります。
鉛クリスタルは酸化鉛の添加量が24%以上のものを、
フルレッドクリスタル(LEAD CRYSTAL)、
それ以下のものをセミクリスタルと表現する場合もあります。

しかし、最近はヨーロッパを中心にローズ規制など、
鉛に対する風当たりが強くなっています。
ローズ(RoHS)規制とは、ご承知の通り、電気・電子機器に
含まれる鉛、水銀などの有害物質の使用を規制するものです。
しかし、それでもバカラなどの有名クリスタルメーカーの
製品は健在で、今でも高級ガラスの定番となっております。
また車のバッテリーは今でも鉛バッテリーです。
酸化鉛はガラスの中に入ってしまうと、安定していて
外に溶出する度合いも非常に低いのです。
その溶出度も業界できちんと検査、規制されています。
ですから、あまりこの点に関して神経質になる必要はないと
私は思っています。
この問題はとても微妙で、論議し始めるとキリがないのですが。

一方でどうしても鉛が気になるという方々のために当社は
酸化鉛を添加しないで、鉛クリスタルのような輝きを持ち、
かつガラス成形の際にも鉛クリスタルのように作業をし易い
Aスキというガラスを以前から販売しております。
鉛レスのクリスタルガラスということです。
ガラス工芸の分野では、おかげさまで、このAスキが
業界標準的なガラスになりつつあります。
当社のフリット、ビレットのシリーズもすべて
このAスキをベースにしています。

今回はクリスタルガラスの話でした。
規制もクリスタルのようにスキッと透明だと
いいんですがねぇ。


 
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