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−続・ガラス原料あれこれ(99)−
 
[天然のガラス]

※(続・ガラス原料あれこれは当社のメールマガジンのバックナンバーです。)

9月に入りました。
暦の上では初秋ですが、今年は残暑が厳しく
まだまだ30度を超える日が続いていますね。
でも、夜になるとセミの声より虫の声が
多く聞こえるようになりました。
秋まで、もう少し、でしょうか。

さて、今回は「天然のガラス」についてです。
ガラスというとビンやコップ、お皿など、
原料を溶かして用途に合わせて成型した
「人工品」というイメージが強いと思います。
しかし、実は地球上には人の手を介していない
天然のガラスがいろいろ存在しています。

一番たくさんある天然ガラスは「黒よう石」です。
黒よう石とは火山岩の一種で名前の通り色は黒く、
割ると切り口が非常に鋭いことから、石器時代には
ナイフや鏃(やじり)などの石器として使用されて
いました。現在は宝石や鉱石としての方が有名で
しょうか。
黒よう石は地中で溶けた岩石がマグマとなり
火山の噴火によって地上に流れ出し急冷される
ことにより固まってガラスになります。
地球上にはいたるところに火山帯があるので
世界中で産出されています。

また「リビア砂漠ガラス」と呼ばれるガラスが
あります。成分は98%がSiO2で、いわゆる
石英ガラスです。色は無色で、リビア砂漠には
このリビア砂漠ガラスが産出される特定地域が
あり、ガラスの組成が砂漠の砂の組成と
似ていることからこのガラスは砂漠の砂から
できたと考えられています。
しかし砂漠の砂がガラスになるには2000度
以上で熱さなければなりません。
この地域の付近には火山帯がないことから
このガラスははるか昔に隕石の衝突の際に
発生した高いエネルギーで砂漠の砂が溶け、
冷却してできたとされています。
現在はその希少性からパワーストーンとして
人気があるようです。
リビア砂漠ガラス以外にも、オーストラリアや
アメリカ、ドイツなどでも隕石の落下が成因と
考えられるガラス「インパクタイト」が発見
されています。

そしてなんと、天然ガラスの中にははるか
宇宙から飛来したと考えられているものも
あります。「テクタイト」と呼ばれ、組成が
発見場所近くの岩石に似ておらず、また近くに
火山の噴火口や隕石の落下跡も見られないため
生成の原因がはっきりせず、形が球状か
亜鈴状なので溶融状態が冷却されながら
遠方から飛来したと考えられているようです。
また、地球から最も近い天体の月にもガラスは
存在しており、月の岩石に組成が似ているので
月上での隕石の落下が成因と考えられています。

私たちの身近にあるガラスが、月や宇宙にも
存在するなんてなんだか不思議ですね。
今月末の十五夜にはそんな思いを馳せながら
月を見上げてみるのも良いかもしれません。


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