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−続・ガラス原料あれこれ(83)−
 
[ブツは溶け残り!?]
※(続・ガラス原料あれこれは当社のメールマガジンのバックナンバーです。)

まず、3月11日に発生した東日本大震災で被災された方々に
心からお見舞い申し上げます。
当社は、幸い千葉の工場もほとんど被害はありませんでした。
しかしながら、ガラス原料の中心原料である珪砂のメーカーが
大きな被害を受けるなど、大きな影響が出ております。
原料の供給面に関しては、ご迷惑を掛けることがないように
万全の対応を取っておりますが、一部珪砂原料についての
コストアップは避けられない状況となっております。

また、昨年から新聞の話題になっています中国産レアアースも
ようやく輸入が少しずつ再開され始めましたが(実質的に半年ぶり)
価格は早くも3倍になっている状況です。
当社も何とか企業努力でこのコストアップを吸収すべく
頑張っておりますが、そろそろ限界に近付きつつあります。

こんな大変な状況ですが、今回もガラス原料に関する
情報、話題をお伝えしたいと思います。

今回のテーマは「ブツは溶け残り!?」です。
「ブツ」といっても業界用語でわかりにくいかもしれませんが、
溶融ガラスの中に残る砂の固まりのようなモノを「ブツ」
と呼びます。
従来、このブツは、ガラス原料の特に珪砂が溶けずに残った
ものと思われてきました。
しかし、このブツを顕微鏡で拡大するとすぐわかるのですが、
これは原料が溶けずに残ったものではなく、いったんガラス
になったものが、様々な要因で結晶物となったものなのです。
顕微鏡で見れば、結晶物の特徴である雪の結晶のような図形が
観察されます。

これらの現象が発生する一番大きな原因は、溶融ガラスを
溶融炉の中にそのままにして置くということが原因なのです。
これまで、このメールマガジンでも何度もお伝えしていますが、
溶けたガラスをそのままにしておくと、ガラスの中の揮発成分
(ソーダ分や硼素分など)がどんどん蒸発して、ガラス表面の
ガラスの中の珪素(砂の成分)の比率が上がって行きます。
そうすると、結晶作用が起こりやすくなります。
また、溶けたガラスを炉の中にそのままにしておくことで、
ガラスと接触している炉材(ルツボやオープンポットの炉材)
がどんどんガラスの中に溶けだしていきます。
炉材はアルミ成分が多いので、これも結晶を作る核となります。

ですからブツが出始める前に、出来るだけ炉内の溶けたガラス
はそのままにしておかないということを励行して頂きたいのです。
毎日の作業として大変ですが、炉内に残ったガラスは使い切るか、
いったん掻い出して、カレットとして次の日の原料として再度
炉に投入することが大切です。

大震災の影響がまだまだ心配ですが、とにかく我々も、今後とも
安定したガラスの原料の供給に努めていく所存です。



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