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−続・ガラス原料あれこれ(59)−
 
[ガラス原料の環境問題]

4月です。
今年は桜も、例年より大幅に早く開花しました。
でも開花宣言があってから、急にまた寒くなってまだ1−2分咲き
のままですね。「花冷え」って奴です。
心配された景気も、少し明るいきざしもところどころ見えてきました。
さあ、春ですね。

さて。今回のテーマは「ガラス原料の環境問題」です。
以前に「ガラスと環境問題」というテーマで、ガラスに対する
鉛やカドミなどの規制について考えたことがありますが、
今回は、実際にガラスを溶かしているガラス工房さんが使用する
「ガラス原料=バッチ」の環境面での問題を考えてみたいと思います。

以前お話した通り、ガラスはむしろ環境に優しい材料だと思います。
たとえば、容器の素材としてもガラスは他の材料に比べ環境への負担は
軽いと言われています。
それは、ガラスは中の成分が安定していて、有害な物質が出てこない
という利点があるからです。
ドイツなどでは、国として率先してガラス容器を使うように
推進しているようです。日本ではペット容器があふれていますが。

しかし、「ガラスそのもの」ではなく、「ガラスを作るための原料」
として考えてみると、少し難しい問題が出てきます。
ガラスになってしまえば安定している成分の中でも、原料の状態
では劇物や毒物に指定されている原料が一部残されているからです。
それでも、いいガラスを作るために、これまでは必要悪として
仕方なく使用してきました。
でも、我々としてもこれだけ環境意識が高まった今の時代に、
昔と同じ毒劇物をいつまでも使用する訳にはいきません。

そうするためには、色々と努力が必要となります。
しかし、原料には必ず代替原料が存在します。
というか、そういうものを開発していけばいいのです。
たとえば、鉛であれば、その求められる性質によって、
ニオブやビスマスが代替原料として使用されます。
黄色もカドミではなく、セリウムなどで出すことも出来ます。
溶融ガラスを脱泡するやり方も、色んな原料を使うことで
対策していけます。
このように工夫していくことで、環境に対しても、そして、
それを使用する工房の皆様の健康にも安心なガラス原料(ガラス・バッチ)
を作っていくことが可能だと思います。

それからもう一つの道として、ガラス化されたガラス・カレット
(ガラス・マーブルといいます)を使用するという方法があります。
ガラス・マーブルは、きちんと溶融管理されたガラスを、炉で再溶融
する時に扱いやすいように、小さなガラスの固まり(1〜2cmの大きさ)
に成形したものです。
ヨーロッパのスタジオガラス(ガラス工房)では、このガラス・マーブル
を使用するのがむしろ主流になっているようです。

ただし、この場合いったんガラス化し、成形するのでバッチに比べ、
どうしてもコストが高くなってしまいます。
このネックを何とかうまく解決出来れば、ガラス・マーブルは
環境面にとって、かなり魅力的な解決策(ソリューション)となります。
ガラス・マーブルであれば、既にガラス化されているので、ガラス炉
の温度もそんなに上げずに済み、エネルギーコストや炉の寿命という
点でも有利です。

何とか品質が良くて、しかも安いというガラス・マーブルを作ろうと
当社も現在、鋭意開発中ですので、乞うご期待下さい。

それから、当社のホームページのリニューアルも完了し、以前に比べ
見やすくなったと御好評を頂いております。
これを機会にさらに内容の充実を計りたいと思います。
それから、ネット・ショップでもガラス製品の扱いを増やして
いく予定です。


※(続・ガラス原料あれこれは当社のメールマガジンのバックナンバーです。)



 
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