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−続・ガラス原料あれこれ(24)−
 
[ガラスと亜鉛]

もう5月が目の前です。5月っていいですね。
陽光がふりそそぐ、といったイメージです。
シューマンの歌曲集「詩人の恋」でも、
初めに5月が歌われます。出会いは5月だったのです。
それから連休も楽しみですね。
景気の回復も順調のようです。
しかし、一方で色んな物の値上がりが
少しずつ目立つようになってきました。

実は、当社も様々な原料の高騰に耐え切れず、
バッチ製品の値上げを4月にお願いしました。
ところが、その後も一部の非鉄金属類の高騰が止まるどころか、
さらに勢いを増しています。銅や亜鉛がそうです。
特に亜鉛の上昇は深刻です。
こういう金属類は世界的な価格の指標として、イギリスにある
LMEという商品取引所の価格をベースとしています。
日本でもLME価格を元に、建値という標準価格をメーカーが発表しています。
この建値価格が、2月にはキロ当たり280円台だったのが、
4月後半の現在は410円という短期間で信じられない上昇をしています。
1年前は180円以下でした。
原因としては、中国を初めとする需要の大きな伸びに対して、
供給量がそれほど伸びていないことが挙げられますが、
石油でも見られるように、世界的に投機的な資金が過熱気味に
投入されていることが一番大きな背景だと私は思います。

亜鉛はガラス原料の中でも重要な原料で、
酸化亜鉛の形でガラスに入ります。
酸化亜鉛は「ガラス原料あれこれ」の中でも紹介していますね。
http://www.glass-kougeihiroba.jp/arekore/index01.html
工芸作家の方々に広く使用して頂いているAスキにも
この酸化亜鉛がガラス成分として2%以上入っています。
酸化亜鉛は、ガラスが冷えていく時に固まっていくスピードを
遅くしてくれますので、ガラスの成形加工を容易にしてくれますし、
失透(ガラスの中に結晶が発生し不透明になる)などのトラブルの
発生も少なくしてくれます。
それから、ガラスの熱膨張(ガラスが熱に応じて膨張する度合い)
も低くするというメリットもあります。
最近では、環境問題などでスケープゴートのようになっている
鉛の代替成分として使われるケースも多くなっています。
また赤色や黄色のガラスには、酸化亜鉛は良好な発色の
ために不可欠な成分です。

このように亜鉛はガラスにとって大変有用な原料なのです。
ですから、今回の価格の高騰はとても頭の痛い問題です。
かといって、酸化亜鉛の使用をやめてしまえば、また
デメリットも生じます。
それから、人間にも亜鉛はすごく大事なんですよ。
必須ミネラルです。欠乏すると、前立腺肥大などの病気になりやすい
と言われています。また、日焼け止め(サン・スクリーン)にも
使われていますね。
酸化チタンに比べて、酸化亜鉛を使用した日焼け止めは
塗っても顔が真っ白(バカ殿?)になりにくいので、
最近はこちらが主流です。

今回は、亜鉛が高くなったら
「ストロボ写真でバカ殿状態で写っちゃうよ」
というお話でした!? って、違うか(^^;;


 
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