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−続・ガラス原料あれこれ(108)−
 
[江戸とびいどろ]

※(続・ガラス原料あれこれは当社のメールマガジンのバックナンバーです。)


今日で5月もおしまい。
新緑がまぶしいさわやかな季節が
続くと思いきや、今週に入って
九州から関東甲信越までが一気に
梅雨入りしました。これは例年に比べると
10日ほど早い梅雨入りとのことです。
夏を迎える為にはしょうがないのですが、
やはりちょっと憂鬱ですね・・・。

さて、そんな中で明るい話題をひとつ。
もうすっかりおなじみの東京スカイツリーが
5月22日に1周年を迎えました。
また、入場者数はその高さ634mと同じ数字の
634万人を突破したそうです。
日本の伝統と最新の技術が融合したこの
東京スカイツリーは、見事に東京の新しい
シンボルタワーとなりました。

このスカイツリーのある墨田区は、
浅草・両国・錦糸町など江戸の時代に
下町文化が華やかに栄えた地域でもあります。
実は日本のガラスもこの江戸時代に
一気に発展したと言われています。
といっても、ガラス自体は弥生時代から
日本に存在していました。ですが
現代のように人々の生活に中にガラスが
溶け込むきっかけとなるのは、時代は下り
16〜17世紀、ポルトガル人が種子島に
漂着し、オランダ人が来航してからの
話になります。

これをきっかけに日本にはヨーロッパの
様々な文化とともにガラス製品も入って
きました。その多様さに刺激を受け
日本でもヨーロッパのようなガラスを
作りたい、という思いが高まっていったと
されます。

突然ですが「びいどろ」や「ぎやまん」と
いう言葉をご存知でしょうか?
現代でも耳にする言葉ですが、実は江戸時代、
ガラスは「ガラス」ではなく「びいどろ」や
「ぎやまん」と呼ばれていました。
「びいどろ」はポルトガル語でガラスを
意味するヴィドロ(vidro)がなまった言葉で、
当時は「硝子」という漢字を当てて「びいどろ」と
読んでいたそうです。
また、「ぎやまん」はオランダ語でダイヤモンドを
意味するディアマント(diamant)がなまった
言葉とされます。

そんな中、1639年(寛永16年)に鎖国令が
出されましたが、唯一開港されていた長崎には
ヨーロッパのガラスと技術が入ってきた為、
長崎は日本の近世ガラスの発祥の地とされています。
この長崎から、京都・大阪・江戸などへガラスと
技術が広まっていきました。
18世紀になると長崎ではオランダ渡りのものに
勝るとも劣らないガラスが作られていたという
記録が残っています。
こうして外国から入ってきたガラスの技術は、
江戸時代に日本独自の文化や感性と融合し、
江戸切子や薩摩切子のような繊細な細工に
発展していきました。
そして江戸時代から現代へ、その文化は脈々と
受け継がれています。

そういえば、東京スカイツリーでは今、
1周年を記念して日替わりで12色の
ライティングを行なっているそうです。
6月4日までとのことですので興味の
ある方はお早めにどうぞ。
梅雨が明ければ夏。夏と言えばガラスの
季節です(ちょっと気が早いですが)。
今夏はちょっと贅沢に江戸切子のグラスで
冷酒をくいっといただきたいですね。


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